発売延期の発表
Ubisoftは2024年9月26日、『アサシン クリード シャドウズ』の発売を2025年2月14日に延期すると発表しました。当初は2024年11月15日に世界同時発売の予定でしたが、約3ヶ月の延期となりました。
延期の理由について、Ubisoftは「ゲームプレイ体験を改善し、いくつかの主要な要素を向上させるため」と説明しています。具体的には、2人の主人公である弥助と奈緒江のゲームプレイスタイルをさらに磨き上げ、シリーズの野心を十分に発揮させるためとしています。
延期の背景
この延期決定には、Ubisoftの最近のリリースタイトルの不振が影響しているようです。特に『スター・ウォーズ 無法者たち』の販売が予想を下回ったことから、プレイヤー体験の改善に注力する姿勢を示しています。
Ubisoftは投資家向け資料で「『スター・ウォーズ 無法者たち』のリリースから教訓を学んだ」と述べており、プレイヤーのフィードバックを重視する姿勢を強調しています。
予約購入者への対応
発売延期に伴い、Ubisoftは予約購入者への対応を発表しました。具体的には、最初の拡張ダウンロードコンテンツ(DLC)を無料で提供するとしています。
しかし、返金対応については地域によって差があるようです。英語版のリリースでは予約注文の返金に言及がありますが、日本語版のリリースには返金に関する記載がありません。この対応の差異について、一部のユーザーから批判の声が上がっています。
歴史考証の問題
『アサシン クリード シャドウズ』は発表当初から、歴史考証の正確性について議論を呼んでいました。特に主人公の一人である弥助の描写が注目を集めています。
歴史上の弥助は、織田信長の召使いとして知られていますが、ゲームでは侍として描かれています。この設定は、日本大学准教授のトーマス・ロックリー氏の著書『信長と弥助 本能寺を生き延びた黒人侍』を下敷きにしているとされています。
歴史的正確性をめぐる議論
弥助を侍として描く設定には、歴史研究者の間でも意見が分かれています。国際日本文化研究センターの呉座勇一助教は、弥助が信長の家臣として遇されていた可能性を否定していません。
一方で、この説の根拠となる史料の信頼性には疑問も呈されています。『信長公記』の記述が唯一の根拠とされていますが、これが後世の創作である可能性も指摘されています。
ゲーム内の時代考証
ゲームの予告編や公開映像では、時代考証の不正確さが指摘されています。甲冑姿の侍が町中を歩く様子や、畳が正方形であるなど、細部に渡って違和感があるとの声が上がっています。
また、Ubisoftは7月に、ゲームのコンセプトアートで「関ケ原鉄砲隊」の旗を無断使用したことを認め、謝罪しています。これらの問題が、ゲームの信頼性に影響を与えているとの指摘もあります。
延期の影響と今後の展望
発売延期により、『アサシン クリード シャドウズ』は2025年2月14日に発売されることになりました。しかし、この時期には『モンスターハンターワイルズ』や『龍が如く8外伝 Pirates in Hawaii』など、人気シリーズの新作リリースが予定されています。
さらに、同年中には『Ghost of Yotei(ゴースト・オブ・ヨウテイ)』の発売も控えており、セールス面での苦戦を予想する声も出ています。
まとめ
『アサシン クリード シャドウズ』の発売延期は、ゲームの品質向上を目指す動きと捉えることができます。しかし、歴史考証の問題や競合タイトルとの発売時期の重なりなど、課題は依然として残されています。
Ubisoftがこの延期期間をどのように活用し、ゲームの完成度を高めていくのか、今後の動向に注目が集まっています。ファンの期待に応えつつ、歴史的正確性とゲーム性のバランスをどう取るのか、その手腕が問われることになりそうです。